こんてんつ
- 変位-ひずみ関係式の定義
- 応力-ひずみ関係式(一般化されたフックの法則/一般化Hook則)の導出
まず結論
変位-ひずみ関係式
応力-ひずみ関係式(一般化されたフックの法則)
各種文字
- 変位
- 垂直ひずみ
- せん断ひずみ
- ポアソン比
- 縦弾性係数(ヤング率)
- 横弾性係数
- 垂直応力
- せん断応力
変位-ひずみ関係式の定義
ひずみとは、単位長さ当たりの変位量もしくは変位角のことである。
垂直ひずみ
微小物体を方向にの力で引っ張ったとする。この時、物体に変位が現れるとする。これを、偏微分を用いて単位長さ当たりの変位量としたものが垂直ひずみである。元長さに対する変位量の比率を考えれば、
同様にして次の3つの式を得る。
せん断ひずみ
微小物体を下図の様に、の力で変形させたとする。この時、物体に変位角が現れるとする。これを、偏微分を用いて表したものがせん断ひずみであり、特に工学的せん断ひずみと呼ばれる。
同様にして、次の3つの式を得る。
一般化されたフックの法則の導出
通常のフックの法則
垂直応力と垂直ひずみの間、せん断応力とせん断ひずみの間には次の関係がある。
ポアソン比と横弾性係数
ポアソン比とは、「引っ張って伸ばすと、その分縮む」という「ポアソン効果」がどれだけ生じるかを示した数値のことである。縦方向のひずみと、横方向のひずみの比率にマイナスを掛けた値で定義される。
等方性材料の場合、どこに向かって引っ張っても同じなので次のようになる。
ここで、縦弾性係数と横弾性係数の間には、ポアソン比を用いて次の関係がある。
一般化されたフックの法則
一般化されたフックの法則は、異なる軸に対する引っ張りの影響を、ポアソン効果も含めて定式化したものである。ここでは、1つの軸に対する引っ張りのひずみをと表し、最終的に全てを足し合わせとする作戦で、定義を導く。
例えば微小物体をの力で引っ張ることを考える。フックの法則に従えば方向にのひずみ(伸び)を生じる。それと同時に方向、方向に、ポアソン比に応じたひずみ(縮み)が生じる。
この時、、を同時に与えることを考えて、次にまとめてみよう。
- の力を掛けた場合、方向にのひずみ。方向にポアソン比に応じたひずみが生じる。
- の力を掛けた場合、方向にのひずみ。方向にポアソン比に応じたひずみが生じる。
- の力を掛けた場合、方向にのひずみ。方向にポアソン比に応じたひずみが生じる。
ここから、すべての力が同時に作用した場合、方向にはととのひずみが生じる。したがって、最終的に方向に生じるひずみは、
である。ここで、通常のフックの法則より、
を得る。これが一般化したフックの法則である。他の方向のひずみについても同様に書くと、
であり、
であるから、次の公式が得られる。
となる。ここで、せん断方向の変形については体積変化が生じないため、通常のフックの法則がそのまま利用できる。