直交異方性材料(横等方性材料)のコンプライアンス行列と独立成分
こんてんつ
一方向繊維強化プラスチック材料などを代表とする横等方性材料のコンプライアンス行列を導出し、その独立成分を導く。
前提
等方性材料のコンプライアンス行列の導出は下記を参考。 contents-open.hatenablog.com
言葉の整理
直交異方性材料とは、互いに直交する3つの弾性主軸を持ち、いずれの方向の材料定数も異なる材料のことである。この材料の中で、特に1つの面内に等方性を有し、面外に1方向の異方性を持つ材料を横等方性材料と呼んでいる。GFRPやCFRPなどは横等方性材料。
直交異方性材料
コンプライアンス行列
図の様に、1に繊維方向、2に垂直方向を取るような異方性材料を考える。異方性材料の場合、ポアソン比は引張方向によって異なるため、次のようになる。
これを用いて、一般化フック則は次のように書ける。
ここから、コンプライアンス行列は
の様になる。ここで、行列を次のように書き換えておく。
直接表現で略記すると、
の様になる。
独立成分について
コンプライアンス行列より独立成分は、の12個だと考えられるが、弾性係数行列及びコンプライアンス行列の対称性(ベッチの相反定理)から、
の関係があり、は従属の形で書ける。よって、独立成分はの9個になる。改めてコンプライアンス行列を書き直しておくと、
となる。
横等方性材料
独立成分について
横等方性材料は2-3平面で等方性材料とみなせる。そのため、次の関係式が得られる。
よって、独立成分はの5個になる。の5個と見ることもできる。
コンプライアンス行列
以上より、改めてコンプライアンス行列を書き直すと、
となる。の5個で書けていることが分かる。