母比率pの差の検定

こんてんつ

母比率pの検定と母比率pの差の検定はちょっと違う。両者の違いを比較できるようにメモしておく。

参考: contents-open.hatenablog.com

覚えるべき結果

母比率pの検定

  • 二項分布Bi(1,p)に従う確率変数X_iについて。
  • 母比率の期待値はp、母分散はp(1-p)となる。
  • よって、母比率がpであることの検定統計量Zは、

\displaystyle
Z= \frac{\hat{p}-p}{\sqrt{p(1-p)/n}}

母比率の差p_A - p_Bが0であることの検定

  • 二項分布Bi(1,p)に従う確率変数X_AX_Bの差について。
  • 母比率の差の期待値はp_A - p_B、母分散はp_A(1-p_A)p_B(1-p_B)の和になる。
  • よって、母比率の差p_A - p_Bが0であることの検定統計量は、

\displaystyle
\begin{eqnarray}
Z &=& \frac{(\hat{p}_{A}-\hat{p}_{B}) - (p_A - p_B) }{\sqrt{\frac{\hat{p}_{A}(1-\hat{p}_{A})}{n_A}+\frac{\hat{p}_{B}(1-\hat{p}_{B})}{n_B}}} \\
&=&  \frac{\hat{p}_{A}-\hat{p}_{B}}{\sqrt{\frac{\hat{p}_{A}(1-\hat{p}_{A})}{n_A}+\frac{\hat{p}_{B}(1-\hat{p}_{B})}{n_B}}}
\end{eqnarray}

練習問題

母比率pの検定

A社とB社のいずれかのメーカーからある部品の製作機を仕入れることにした。製作機の不良品率を電話で尋ねたところ、A社もB社も5%という回答であった。この回答が正しいかどうかを確認するため、それぞれの機械で200個の部品を試作してもらい、実際に不良品率を検査することにした。A社の試作品200個のうち実際に不良品は16個であった。不良品率をpとして、帰無仮説p=0.05、対立仮説をp > 0.05として検定を行う。P_{-}値を計算せよ。

測定によって得られた推定値\hat{p} = 16/200 = 0.08を用いて、母比率がp=0.05であることの検定を行う。検定統計量は、


\displaystyle
Z= \frac{0.08-0.05}{\sqrt{0.05 \times 0.95/200}}  = 1.94

Z正規分布に従うので、正規分布表より、P_{-}値は0.026。

母比率の差p_A - p_Bが0であることの検定

A社に加えてB社の試作品200個も調べると、不良品は17個であった。A社、B社の不良品率の差をp_A - p_Bとして、帰無仮説p_A - p_B=0、対立仮説をp_A - p_B \neq 0として検定を行う。P_{-}値を計算せよ。

測定によって得られた推定値\hat{p_A}-\hat{p_B}=0.080-0.085を用いて、母比率の差がp_A - p_B=0であることの検定を行う。検定統計量は、


\displaystyle
Z= \frac{0.080-0.085}  {\sqrt{  \frac{0.080 \times 0.920}{200}+\frac{0.085 \times 0.915}{200}  }} = -0.18

Z正規分布に従うので、正規分布表より、P_{-}値は0.86。