母比率pの検定、信頼区間

こんてんつ

母比率pの検定統計量や、母比率pの信頼区間については、統計検定2級でも頻出なように良く問われる。しかしながら、なかなか覚えられないのでまとめておく。

覚えるべき結果

それぞれの標本X_{i}がベルヌーイ分布Bi(1,p)に従う時、確率変数の和S=\sum X_i =X_1+\cdots+X_nの分布について、期待値、分散、標準化変数は


\displaystyle
\begin{eqnarray}
&&E(\sum X_i )=np \\
&&V(\sum X_i )=np(1-p) \\
&&Z=\frac{\sum X_{i} - np}{\sqrt{np(1-P)}} = \frac{\hat{p}-p}{\sqrt{p(1-p)/n}}
\end{eqnarray}

ここで、Zは母比率がpであることの検定統計量である(東大出版 統計学入門P.250)。

これから、中心極限定理によりZは大略正規分布に従うので、


\begin{eqnarray}
&&P \left( -Z_{\frac{\alpha}{2}} \leq \frac{\sum X_{i} - np}{\sqrt{np(1-p)}} \leq +Z_{\frac{\alpha}{2}} \right) \fallingdotseq 1-\alpha \\
&&P \left( -Z_{\frac{\alpha}{2}} \leq \frac{\hat{p} - p}{\sqrt{p(1-p)/n}} \leq +Z_{\frac{\alpha}{2}} \right) \fallingdotseq 1-\alpha
\end{eqnarray}

信頼区間は、


\begin{eqnarray}
\left[ \hat{p} - Z_{\frac{\alpha}{2}} \cdot \sqrt{\hat{p}(1-\hat{p})/n} \, , \,  \hat{p} + Z_{\frac{\alpha}{2}} \cdot \sqrt{\hat{p}(1-\hat{p})/n} \right]
\end{eqnarray}

練習問題

問題

あるメーカーからある部品の製作機を仕入れることにした。製作機の不良品率を電話で尋ねたところ、5%という回答であった。この回答が正しいかどうかを確認するため、200個の部品を試作してもらい、実際に不良品率を検査することにした。試作品200個のうち実際に不良品は16個であった。不良品率をpとして、帰無仮説p=0.05、対立仮説をp > 0.05として検定を行う。P_{-}値を計算せよ。

解答

母比率がp=0.05であることの検定を行う。母比率がpであることの検定統計量は、


\displaystyle
Z= \frac{\hat{p}-p}{\sqrt{p(1-p)/n}}

測定によって得られた推定値\hat{p} = 16/200 = 0.08を用いて、母比率がp=0.05であることの検定を行う。検定統計量は、


\displaystyle
Z= \frac{0.08-0.05}{\sqrt{0.05 \times 0.95/200}}  = 1.94

Z正規分布に従うので、正規分布表より、P_{-}値は0.026。