こんてんつ
梁の固有振動数(共進周波数)の式を導出する。
- 結論
- 導出
- 梁の横振動の支配方程式の導出
- 微分方程式一般解の導出
- 具体的な固有振動数の導出
- 片持ち梁 固定–自由
- 片持ち梁 ピン–自由
- 両持ち梁 固定–固定
- 両持ち梁 ピン–ピン
- 両持ち梁 固定–ピン
結論
梁の横振動の支配方程式
微分方程式の一般解
の値
| 支持条件 | |
|
|
|---|---|---|---|
| 片持ち梁 固定–自由 | 1.8751 | 4.6941 | 7.8548 |
| 片持ち梁 ピン–自由 | 3.9266 | 7.0686 | 10.2102 |
| 両持ち梁 固定–固定 | 4.7300 | 7.8532 | 10.9956 |
| 両持ち梁 ピン–ピン | π ≈ 3.1416 | 2π ≈ 6.2832 | 3π ≈ 9.4248 |
| 両持ち梁 固定–ピン | 3.9266 | 7.0686 | 10.2102 |
導出
梁の横振動の支配方程式の導出
任意の梁の微小長さに働く
- 慣性力
- せん断力
のつり合いを考える。

慣性力は断面積
、単位長さ当たりの密度
、縦弾性係数
、断面二次モーメント
を用いて、
と表せる。一方せん断力は、微小領域の左右のせん断力の差として表されるため、断面の左右の位置でのせん断力の変化を考慮して、
となる。一方で、せん断力は曲げモーメント
の変化率であるから、
であること、加えて梁のたわみの微分方程式から、
である。これらを用いて、
よって、と
のつり合いより、Euler-Bernoulli 梁理論における横振動の支配方程式、
が得られる。
微分方程式一般解の導出
振動モードを考えるために、一般解を「空間依存
」と「時間依存
」で変数分離された形
になると仮定する。振動時の梁の節や腹を表すような空間依存の一般解が分かれば良く、これを支配方程式に代入すると、
となる。ここで、
と置いた。得られた微分方程式は、線形斉次微分方程式である。特性方程式を求めるためにと置くと、
となる。線形斉次微分方程式の解の重ね合わせの原理により、
となるが、実関数の方が扱いやすいため
より、
が得られ、同様に、
より、
が得られる。よってこれらを重ね合わせた、
が微分方程式の解となる。
具体的な固有振動数の導出
片持ち梁(固定-自由)の固有値
梁の長さをと置く。梁の一端が固定されており、もう一端が自由端の時、支持側の変位0、傾き0より、
自由端側のモーメント、せん断力
より、
となる。これより、
が得られる。よって、
であり、この連立一次方程式が非自明な解を持つ条件は、係数行列が正則でないこと、言い換えれば行列の行列式がゼロになることであり、
より、これを計算すると、
を得る。この超越方程式を解析的に解くのは困難であり、数値計算で解を求めると、第一モード、第二モード、第三モードとして、
となることが知られている。この時の固有振動数は、
片持ち梁(ピン-自由)の固有値
梁の長さをと置く。梁の一端がピン支持、もう一端が自由端の時、支持側の変位0、モーメント0より、
自由端側のモーメント、せん断力
より、
となる。これより、
が得られる。よって、
であり、この連立一次方程式が非自明な解を持つ条件は、係数行列が正則でないこと、言い換えれば行列の行列式がゼロになることであり、
より、これを計算すると、
を得る。この超越方程式を解析的に解くのは困難であり、数値計算で解を求めると、第一モード、第二モード、第三モードとして、
となることが知られている。この時の固有振動数は、
両持ち梁(固定-固定)の固有値
梁の長さをと置く。梁が固定支持の時、両端で変位0、傾き0より、
となる。これより、
が得られる。よって、
であり、この連立一次方程式が非自明な解を持つ条件は、係数行列が正則でないこと、言い換えれば行列の行列式がゼロになることであり、
より、これを計算すると、
を得る。この超越方程式を解析的に解くのは困難であり、数値計算で解を求めると、第一モード、第二モード、第三モードとして、
となることが知られている。この時の固有振動数は、
両持ち梁(ピン-ピン)の固有値
梁の長さをと置く。梁の両端がピン支持の時、支持側の変位0、モーメント0より、
となる。これより、
が得られる。よって、
であり、この連立一次方程式が非自明な解を持つ条件は、係数行列が正則でないこと、言い換えれば行列の行列式がゼロになることであり、
より、これを計算すると、
を得る。この超越方程式を解くと、 (nは自然数)となる。よって、第一モード、第二モード、第三モードとして、
となる。この時の固有振動数は、
両持ち梁(固定-ピン)の固有値
梁の長さをと置く。梁の一端が固定支持、もう一端がピン支持の時、支持側の変位0、傾き0より、
ピン支持側の変位0、モーメント0より、
となる。これより、
が得られる。よって、
であり、この連立一次方程式が非自明な解を持つ条件は、係数行列が正則でないこと、言い換えれば行列の行列式がゼロになることであり、
より、これを計算すると、
を得る。この超越方程式を解析的に解くのは困難であり、数値計算で解を求めると、第一モード、第二モード、第三モードとして、
となることが知られている。この時の固有振動数は、